給付金の支給、市独自の中小業者支援、検査体制改善へ

15日、臨時市議会が開かれました。

国が決めた国民一人10万円の給付や、子育て世帯、中小業者などの市独自の給付、市保健所でのPCR検査体制を改善するための施策などを含む補正予算などを決めるための議会です。

給付金を早く届けられるよう専決処分に

10万円の給付と、児童手当受給者に児童ひとり1万円上乗せする給付金は、議会に先立って作業が進められるよう、5月1日付で市長の専決処分という形をとりました。

行政が使う予算や条例の制定・改廃はすべて議会の議決が必要です。
しかし、議会を開くには手続きと時間が必要なため、緊急性が高く議会を開く時間的余裕がないことが明らかな場合などに、例外的に議決をせずに市長が自ら処理する「専決処分」という手続きがあります。

本来必要な議会の手続きを経ずに行うわけですから、濫用されれば危険なものですが、今回の給付金はできる限り早く市民に届けるべきとの判断で、議会も市長の要請に応じて専決処分を認めた経緯があります。

このほかに、国の毎年の予算や法案は、3月末に成立、4月1日から施行されるものが存在します。税制に関する法律に関連して、市の条例改正が必要になる場合が多く、このようなケースも議会を開く時間がないため専決処分されます。

専決処分されたものは、その後に開かれる議会で承認を求める議決が行われます。議会で不承認となった場合でも専決処分の効力は失われませんが、2012年の地方自治法改正で、条例または予算に関する専決処分について議会で不承認とされた場合には、長は必要と認める措置を講じるとともに議会に報告する義務が設けられました。

臨時議会で審議したもの

前置きが長くなりましたが、今回の臨時議会では5件の専決処分(条例改正4件、補正予算1件)と補正予算1件が審議されました。

一般会計補正予算(第2号)の専決処分は、上で述べた10万円の給付と児童手当に1万円上乗せする給付金です。日本共産党からは、こんの英子議員が質疑(他の会派から2名が質疑)しました。現在、申請書の郵送を準備しており、5月下旬から手続き開始、6月に入ってからの支給開始になる見通しです。

専決処分以外の議決案件は一般会計補正予算(第3号)1件です。日本共産党からは川口ともこ議員が質疑(他の会派から7人が質疑)。行った施策は多いものの、市が独自財源で出したものはわずかで、基本的には国の負担と交付金が主となっています。また、医療体制の整備などは市に負担が発生していることも注目しておくべきです。

税の徴収猶予や軽減・減免を使おう

私は、新型コロナウイルスに関連した「税の徴収猶予」の事務手続きの専決処分について質疑しました。
4月30日の国会で成立した「地方税法改正」には、「税の徴収猶予」や「減免」「軽減」などが定められました。新型コロナウイルスで収入が前年に比べて一定以上減った方は1年間税の徴収猶予が受けられます。 このほかに、令和3年度の固定資産税が軽減されたり、国民健康保険や介護保険料、後期高齢者医療などにも減免の規定があります。今回の新型コロナウイルスへの対応で減免の基準も改善される見通しで、各部署で検討が進められています。6月には国保の納税通知書などが順次発送されますが、この通知に間に合うよう対応するように求めました。

税収はどうなるのか

徴収を猶予すると、その分は今年度の税収で入ってこなくなります。また、休業などに伴って売り上げや所得が減っているので、税収が減ることはまず間違いありません。これらの財源が不足するのをどのように補うかを問いました。
・徴収の猶予については、資金手当てのための地方債が発行できる
・固定資産税、都市計画税など市税の軽減措置等の減収分は、全額国の特例交付金で補填する
としています。しかし、所得減少で税収全体が減っていくため、今後の施策をどう実施するかは見直す必要が出てくるでしょう。市民の暮らしを守る市政運営に、あらためて向き合う必要があります。

専決処分の承認、補正予算ともに全会一致で可決しました。


川越市の新型コロナウイルス感染症緊急対策(第4弾)概要

臨時議会を前後して市が行った新型コロナウイルス感染症緊急対策(第4弾)の全体像は下の通りです。大きく分けて、予備費と令和元年度補正予算(第8号)で対応したもの(過去に議決済み)、令和2年度補正予算(第2号、専決処分)、令和2年度補正予算(第3号、今回の議会で議決)に分かれていますが、まとめて示しておきます。

1.感染拡大防止策と医療提供体制の整備

(1)感染拡大防止策
・医療用マスク(1万枚)、非接触型体温計(100本)の確保【予備費で対応】
・備蓄用及び業務従事者用マスク(10万枚)の確保【予備費と令和元年度補正予算(第8号)で対応】
(2)帰国者・接触者外来の設置
・「帰国者・接触者外来」を設置する際の費用の補助【予備費で対応】
(3)入院医療費の公費負担
・新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費の公費負担【令和2年度補正予算(第3号)で対応(国3/4、市1/4)】
(4)新型コロナウイルス感染症対策資材の確保
・感染症患者搬送用バッグ(20式)の購入【予備費で対応(国1/2、市1/2)】
・フェイスシールド、手袋等の購入【令和2年度補正予算(第3号)で対応(市負担)】
(5)検査体制の確保
・自動核酸抽出装置の追加導入【予備費で対応(国1/2、市1/2)】
・「帰国者・接触者外来」でPCR検査を実施する場合の自己負担分を公費で負担する予算【予備費で対応(国1/2、市1/2)】
・市内の民間検査機関へPCR検査の委託(800検体程度を想定)【令和2年度補正予算(第3号)で対応(国1/2、市1/2)】
・PCR検査試薬等の追加【令和2年度補正予算(第3号)で対応(国1/2、市1/2)】

2.緊急生活支援

(1)特別定額給付金の給付【国の施策】
市民一人あたり10万円を給付。(対象者は35万5千人を想定)【令和2年度補正予算(第2号、専決処分)】
(2)子育て世帯臨時特例給付金の給付【国の施策】
児童手当受給世帯に児童一人あたり1万円を給付。(対象児童は4万2,227人を想定)【令和2年度補正予算(第2号、専決処分)】
(3)子育て応援支援金の給付【市独自】
児童扶養手当受給世帯と就学援助認定世帯に対象児童・生徒一人あたり1万円を給付。(対象児童・生徒は5,400人を想定)【令和2年度補正予算(第3号、事業費は国の交付金)】

3.緊急中小企業者支援

(1)中小企業者事業継続緊急支援金の給付【市独自】
国の中小企業に対する持続化給付金の対象から漏れた事業者で、市の基準を満たす事業者に10万円を給付(5450社を想定)。【令和2年度補正予算(第3号、事業費は国の交付金)】
(2)飲食業出前支援事業【市独自】
利用者が減少している小規模飲食店を支援するため、注文受付・配達代行、メニュー表作成、電話・インターネットでの注文受付など。(20~30社を想定)。【令和2年度補正予算(第3号、事業費は国の交付金)】