新型コロナウイルス感染症で社会の様子が一変しました。多くの人たちがいま不安を抱えて生活しています。世代や置かれている状況によって不安の表れ方が異なるので、実態をよく理解し、他者を思いやる気持ちが必要と感じます。
新型コロナは高齢者や基礎疾患を持つ方が重症化しやすいため、こうした方々は病気そのものに恐れを感じています。収入は年金であることが多く、すぐに収入に困ることはありません。
一方で、健康で働き盛りの世代は病気に対する恐れが少ない反面、収入の不安を抱えます。自粛要請でイベントの中止、在宅ワークの広がりなどで働き方に影響が出ています。すでに倒産や解雇、内定取り消しなどが出始めていると報じられています。安倍政権の元で非正規労働者も増えており、仕事の減少は生活破綻に直結します。
異なる立場を思いやる
こうしたなかでも食品を扱う仕事、医療や介護、保育などに携わる仕事は休むことができません。高齢者や小さな子どもが家族に居る人は、自らが感染を広げる不安を抱えて働いています。特に小さな子を持つ母親たちの不安の大きさは原発災害時の放射能への不安の時とよく似ています。家庭内で考え方の違いによるストレスもケアが必要でしょう。
働けなくなった人は経済的な不安、働き続けている人は感染の不安、それぞれ異なる思いがあり、対策によっては不公平感も生まれます。こんなときには自己の利益だけでなく他者を思いやる気持ちが大切です。
公衆衛生と新自由主義
新型コロナは世界中で恐るべき規模で広がり続けています。近代社会は、下水道の整備などの衛生環境の向上や、予防接種で病気を予防するなど公衆衛生に力を尽くしてきました。ところが近年は新自由主義的な儲け最優先の考えが広がり、病気は自己責任、お金の掛かる医療や公衆衛生は縮小させてきました。政府はこれまでの政策の誤りを直ちに方向転換するべきです。
評価すべき市の姿勢
こんななかで市の努力は評価できます。3月の議会中に2度にわたり補正予算を追加し、衛生環境整備や小規模企業者への融資などを行いました。保健所が自らPCR検査体制を整え、医師からの相談は断ることなく検査につなげています。
最後に、学校の臨時休校により大切な時間を奪われた子どもたちへの向き合い方が私たちに問われる大きな課題です。長引きそうな新型コロナ対応に真摯に向き合いたいと感じています。